転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


587 みんなジョブの事はあんまり知らないんだね




「それじゃあ、ベニオウの実を採りに出っぱぁつ!」

 森にお父さんたちと一緒に行く事なんてあんまりないでしょ?

 それなのに今日はニコラさんたちやバリアンさんまで居るんだもん。

 だから僕、それがすっごく嬉しくって、門を出たところで両方のおててを上にあげながらおっきな声で出発! って言ったんだよ。

 そしたらさ、

「おー!」

 ニコラさんたちがニコニコしながら「オー」って言ってくれたんだ。

「ルディーン、楽しそうね」

「うん! すっごく楽しいよ」

 それがうれしかったもんだから、僕、ニコニコしながらみんなの先頭を歩いてたんだよ。

 そしたらお母さんが近寄ってきてくれて、僕のおててを握って一緒に歩いてくれたんだ。



 それからみんなでお話しながら歩いてたらね、あっと言う間に森の入口のとこに着いちゃったんだ。

「ここもやっと、元の賑わいに戻ったみたいだなぁ」

 そしたらね、バリアンさんがいっぱい並んでる屋台や、そこで買い物をしてる人たちを見てこんな事言い出したんだよ。

 だから僕、何の事だろうって思って聞いてみる事にしたんだ。

「バリアンさん。ここでなんかあったの?」

「何かあったのって、ここで起こったポイズンフロッグの騒動を知らないのかい?」 

 ちょっと前にね、森の奥から逃げてきた冒険者さんを追って、ポイズンフロッグがこの露店街のとこまで出てきた事があるんだって。

 そのせいでここでお店を出してる人たちも、いっぱいおケガをしちゃったそうなんだ。

「俺はその時森の奥までツリーホーンディアを狩りに行っていたからあくまで人から聞いた話なんだけど、その時は露天商や商業ギルドの職員だけじゃなく、冒険者もかなりの数が毒にやられて大変だったそうだぞ」

「その話なら、私たちも知ってます」

 このお話は、ニコラさんたちも冒険者ギルドで聞いた事があるんだって。

「その時は森の浅い所に毒をもった魔物が居なかったから、毒消しポーションがギルドにあまり置いてなくって大騒ぎになったんだってね」

「ええ。知り合いの冒険者もあと少しで死ぬところだったって言ってたから、その場に居なくてほんとよかったねって私たちも話していたのよ」

 ニコラさんたちが怖いよねぇって話してたもんだから、僕、そんな事があったんだってびっくりしたんだよ。

 だからお母さんに怖いねって言ったんだけど、そしたらそれを横で聞いてたお父さんがはぁーって、おっきなため息をついたんだ。

「何を言ってるんだ、ルディーン。お前もその場にいただろう」

「いないよ。だって僕、ポイズンフロッグはお父さんたちと森にやっつけに行くまで見た事無かったもん」

 ポイズンフロッグは魔法で眠らせていっぱいやっつけたから見た事あるけど、ここまで出て来た事があるなんてバリアンさんに教えてもらうまで知らなかったもん。

 だから僕、お父さんにそんなの知らないって言ったんだよ。

 そしたらそれを聞いたお父さんは、違う違うって笑ったんだ。

「いや、そうじゃない。冒険者ギルドが大変な事になった時の話だよ」

「冒険者ギルド?」

 冒険者ギルドが大変だった時っていわれたもんだから、僕、なんかあったっけなぁ? って頭をこてんって倒したんだよ。

 そしたらお父さんが、いつの事なのかを教えてくれたんだ。

「ああ。覚えてないか? 初めて一緒にイーノックカウに来た時、村に帰る挨拶をしにギルドに行ったら大変な事になっていただろう」

「あっ、解った! ルルモアさんたちにバイバイしに行ったら、冒険者さんたちがいっぱい倒れてたんだよね」

 あの時はギルドの中に冒険者さんたちがいっぱい倒れてて、すっごくびっくりしたんだよ。

 それにね、調べてみたらみんな毒で死にそうになってたんだもん。

 だから僕、大変だ! ってキュアポイズンとキュアをみんなにかけてあげたんだよね。

「そうそう、あの時の事だよ。思い出したか?」

「うん! そっか、あれはポイズンフロッグのせいだったんだね」

 お父さんにその時の事を思い出したよって教えてあげてたらね、ニコラさんが僕たちもあの日、冒険者ギルドに居たんだねって言ってきたんだ。

「へぇ、あの日はカールフェルトさんやルディーン君もギルドに居たのかぁ。あっ、って事はもしかして、ルディーン君がみんなの毒を治したの?」

「いや、それは無いだろう」

 でね、もしかして僕がみんなの毒を直したの? って聞いてきたんだよ。

 でもそれを聞いたバリアンさんが、それは違うんじゃないかなぁって。

「何故です? ルディーン君はあの場に居たんですよ?」

「ルディーン君はゴブリン数匹を一度で倒せるくらいの強い攻撃魔法を使える事は、何より救われた君たちが一番よく知っている事だろう。同じ魔法でも攻撃魔法と治癒魔法は使えるジョブが違うのだから、ルディーン君が治癒魔法である毒消し魔法を使えるはずがないじゃないか」

 バリアンさんは僕がすっごく強い攻撃魔法を使えるんだから、違うジョブが使う治癒魔法のキュアポイズンを使えるはずないって言ったんだよ。

 でもそれを聞いたニコラさんは、そんな事無いよって。

「バリアンさん、忘れたんですか? ユリアナとアマリアの足首を治したのは、そのルディーン君なんですよ」

「ん? そう言えば、確かにその通りだな」

 ニコラさんに言われて、バリアンさんはあれ? ってお顔をしながら頭をこてんって倒したんだよ。

「確かにルディーン君はあの日、この子たちの足を魔法で治したんだよなぁ。何でそんな事ができるんだろう?」

「ねぇ、ルディーン君。なんで両方の魔法が使えるの?」

 ニコラさんはね、何で違うジョブの魔法を使う事ができるの? って聞いてきたんだよ。

 だから僕、その理由を教えてあげたんだ。

「あのね、それは僕が賢者ってジョブだからなんだよ」

「けんじゃ? 何それ、聞いた事が無いんだけど」

「ああ、俺も聞いた事が無いジョブだな」

 ニコラさんだけじゃなくって、バリアンさんも賢者の事を知らないって言うもんだから、僕、すっごくびっくりしたんだよ。

 だってバリアンさんはCランクパーティのリーダーだし、それに大人の冒険者さんなんだもん。

「バリアンさんも賢者の事知らないの? 大人なのにダメだなぁ」

「はははっ、申し訳ない。それで、そのジョブがどっちの魔法を使える理由なのかい?」

「うん! あのね、賢者っていうのはどっちの魔法も使えるジョブなんだよ。すごいでしょ」

 僕はね、バリアンさんたちに賢者のジョブの事を教えてあげたんだ。

 そしたらさ、世の中にはそんな便利なジョブもあるんだねってみんなびっくり。

「そんなジョブがあるんだ、知らなかったなぁ」

「ああ。だが帝都にはナイトって言う、戦士でも狩人でもない武器を扱うジョブ持ちがいるっていう話だからなぁ。魔法使いが少ないこの街では聞いた事が無い魔法職があってもおかしくないって事なんだろう」

 でも最後には元々魔法使いの知り合いが少ないんだから、ここのみんなが知らなくってもしょうがないよねってお話になったみたい。

「両方の魔法が使えたおかげで、私たちは助かったんだもん」

「そうだね。ルディーン君がそのけんじゃっていう珍しいジョブだったことに感謝しなくちゃね」

 ニコラさんたちは賢者でいてくれてありがとうって言いながら、3人で僕の頭をなでてくれたんだ。



 読んで頂いてありがとうございます。

 ルディーン君のジョブ、ついに解禁です!

 というか、今まで誰もルディーン君に聞いてないんですよね。ジョブの事。

 それにはちゃんと理由があって、初期の頃に語られていますが、そもそもこの世界ではステータスを見る事ができる人が少なく、そしてジョブまで解る人が殆どいないから。

 そんな訳で予想はするものの、ルディーン君が自分のジョブを知っているなんて誰も考えなかったから聞かれなかったんですよね。

 そして今回も聞いた人みんながそんなジョブがあるんだなと納得し、自己完結してしまったため、これ以上広がる事が無いとw


 さて、毎年の事ですがうちは本家なのでお盆中は来客が多くこの話の続きを書く時間が取れません。

 その上今までは母がやっていたお寺関係の施餓鬼なども私が担当しなければならなくなったので、18日くらいまでは忙しいんですよ。

 なのですみませんが来襲の更新はお休みさせて頂き、次回更新は21日の月曜日になります。


588へ

衝動のページへ戻る